0011: 抽出スタックの多層化とローカル抽出の蒸留FT路線
背景
hypothesis_hypergraphの抽出は現状gpt-5.5(Codexバックエンド)に依存する。 外部LLM依存・コスト・個人データ(0010)の観点から、どこまでローカルで 持てるかを検討・実測した。
決定
1. 抽出を2層に分ける
- LLMフリー層(ローカル・学習利用問題なし・3080/CPU):
- OCR(NDLOCR-Lite)、埋め込み/RAG(bge-m3)、
- ノード候補の型付き抽出(GLiNER-ja / GiNZA / ドメインNER)、
- 役割語NER(GiNZA、匿名化の実名洗い出し)、共起語・KWIC・統計(pcklib)、
- 理念/実証の区別は分類タスクとしてencoder(BERT系)でFT可能(後述)。
- 生成LLM層(gpt-5.5 or ローカル生成モデル):
- 仮説・支持・反証・導出の論証グラフ(エッジ)生成。ここだけがLLM必須。
2. 当面はgpt-5.5、並行してFTデータを蓄積
論証グラフ生成は当面gpt-5.5で回す(判タ・DSM・論文の実務)。 その抽出結果を教師データとして蓄積し、ローカル生成モデルの蒸留FTに使う。
3. ローカル生成モデルのFT路線(Nemotron-9B-ja実測、2026-07-12)
3080でNemotron-Nano-9B-v2-Japanese(i1-Q4_K_M GGUF、llama.cpp CUDA)を実測:
- インフラは全経路成功(WoL→DL→GPUコンテナ→推論。translate.ymlタグも検証)。
- 素ではドロップイン不可: reasoningモデルで日本語抽出に英語CoTを長々出す。 思考オフ(
detailed thinking off/--reasoning-budget 0/--jinja)は このGGUF+llama.cpp版では無効だった。 - GBNF文法制約で構造は出せる: 正しい日本語・統制語彙型(例: 自閉スペクトラム症/概念)。 ただし過少抽出(1ノード1エッジ vs gpt-5.5数十)+意味誤り (相関を「因果」と誤ラベル。0008の因果/導出区別に反する)。
- 結論: 素の9Bは不足。ただし失敗の型(過少抽出・語彙規律の弱さ)は gpt-5.5抽出を教師にした蒸留FTで直る種類。運用ハーネスは 「文法制約デコード(GBNF)」が正しい。翻訳FTと同じtrain.py基盤に乗せる。
4. FTは反復で漸進
蒸留データが増えるほど・FTを重ねるほど精度は上がるが、線形ではない (データ品質と多様性が効く。gpt-5.5の抽出自体の質を保つことが上限を決める)。 数百〜数千の高品質抽出ペアが貯まった段階で初回FT、以後は誤り分析→ データ追加→再FTのループ。
追記: encoder自給ロードマップ(2026-07-12)
LLMフリー層をencoder(BERT系)で強化する。土台は ModernBERT-Ja (310m) (sbintuitions、文脈長8192)。二段階:
- ドメイン適応(MLM継続学習、ラベル不要): e-Gov法令API経由の法令本文で MLM継続学習し「法律語を理解する頭」を作る。3080で数時間。
- 法令本文・判決本文は著作権フリー(著作権法13条: 憲法その他の法令=1号、 判決・決定=3号)。e-Gov API取得なら権利・アクセスとも問題なし。
- 民間の付加物は保護あり(判例集の解説・要旨・編集、六法の注釈、 市販法令集のレイアウト)。判タ複写をcopies/=公開不可としたのは正しい。
- 分量: 現行法令 約8千〜1万件・生テキスト1〜2GB(R2無料枠に収まる、 JParaCrawlより小さい)。全件不要、中核(刑法・医療観察法・ 精神保健福祉法・国民年金法・障害者総合支援法・憲法・民法関連)から 狙い撃ちし、効果を測って拡張。量より関連性。
- 収集はtranslate-batch型のチェックポイント方式でR2
law-corpus/へ。 翻訳FTの法令対訳収集と同一経路(一度作れば両方に効く)。
- タスクFT(ラベル付き): gpt-5.5抽出のdescriptionに含まれる理念/実証の 区別を教師に「理念/実証」2値分類器、ノード型多クラス分類器をFT。 数百例・3080で数十分。decoderの負荷を実際に削る最初の一手。 固有表現(役割語NER・ノード候補)は日本語LUKE系が候補。
- 薬学は既製の JPharmaBERT を使えばよく自作不要。法令特化encoderは 既製がないので e-Gov から作る価値が高い。
未決定事項
- ローカル生成モデルの最終候補(Nemotron-9B-ja FT / ABEJA-Qwen32b / 他)は 蒸留データが揃ってから比較。
- ドメイン適応コーパスの混合比(法令を一枚目に、学術アブスト・抽出ノートを追加)。
追記: 生成LLM層(エッジ生成)の撤回(2026-07-21)
0014により、本決定の「生成LLM層」 節(決定1後半・決定2〜4、論証グラフのエッジをgpt-5.5または蒸留FTした ローカル生成モデルに生成させる路線)は撤回した。エッジ(支持/反証/導出と その根拠)は必ず本人が書く。本決定の「LLMフリー層」節(ノード候補抽出・ bge-m3埋め込み・共起統計・encoder分類、決定1前半)はそのまま有効。